「あの広報さんはすごい!」最近、メディアの方の間で話題になる敏腕広報さんがいます。
そんなRevCommのPR担当、北村さんにテキストインタビュー形式でお話を伺いました。前編、後編に分けてお届けします。
RevComm PR 北村直子 さん
複数の業界、部署を経て広報専任に
加藤:北村さん、今日はありがとうございます。まずは簡単に略歴を教えてください
北村:学校を卒業して新卒で入社したのは百貨店でした。紳士服、スーツを売る売場に配属となり、幅広い世代のお客様にスーツを売る仕事をしていました。「女性が活躍でき、女性であることが不利にならない職場」として小売業を志望したものの、憧れと現実のギャップを感じ、早々に退職してしまいました。その後、主に「英語×教育」業界で数社の経験を経て今に至るのですが、13年間と最も長く働いたのは英語のテスト「TOEIC」の運営団体です。当時「TOEIC」の知名度は低く、「TOEICの名を幅広く知らせる」という大きな目標に向け、営業、販促、マーケ、広報など様々な業務に取り組みました。広報はジョブローテーションの一環で配属された部署の一つです。
広報専任として入社したのは、正社員で8社目となる現職(RevComm)が初めてです。現職では、日経新聞の「ジョブホッパー」という特集で取り上げていただいたこともあります。
加藤:なるほど、さまざまな業務を経験されてきているのですね!百貨店といえば、「最強の自分の作り方」という本を出しているフリーランス広報の田美智子さんも、百貨店の出身です。さまざまなお客様と対面で大量に接する機会が記者の気持ちを汲み取り、提案できる能力として活かされているのかなと思いました。
今までにやってきたことで、大きな成果があればぜひ教えてください。
北村:前職の教育系IT企業は、BtoBマーケットがメインであり「広報は不要」という社長の方針から、広報専門の担当者がいませんでした。プレスリリースも営業担当者が自分で書いてプレスリリース配信サービスにセットしていました。ですが、上場し、個人投資家様から注目をいただく機会が増えると、コミュニケーションに積極的でないことにより、株チャンネルなどでネガティブなコメントをいただく機会が出てきたのです。当時私は営業職だったのですが「広報が必要です!」と社長に直談判し、人事、総務、IRなどと兼任で広報を担当することになりました。売上のごく一部にtoCの部分があったことから、toC向けのセミナーなどをフックに読売新聞など全国紙への掲載を実現することができました。
80件から200件!入社たった1年でメディア露出が大幅増
加藤:広報を経験してきたからこそ、北村さんはその重要性に気づけたんですね!そしてそれを社長に言えるのがすごいです!現職での成果はどうでしょうか。何か具体的な数字で教えていただけるとありがたいです。
北村:広報活動は経営状況と大きくリンクしているため、「広報の成功」と一概には言えませんが、現職で年間80件程度だったメディア露出件数を、入社1年で年間200件程度に伸ばすことができた点は、成果だと考えています(プレスリリースの転載を除くオーガニック掲載件数)。広報としては未経験の業界で、さらに、toB 無形商材の広報という、私にとっては非常に難易度が高い広報業務でした。初めは、何をどうすればよいのか戸惑いました。また、前任広報も非常に優秀だったため、プレッシャーもありましたが、成し遂げることができました。
2022年、2023年にはオンライン記者発表会を実施しました。2023年にはニュース性のない一般情報提供の形で記者勉強会を実施し、2024年には初めて対面の記者発表会を開催しました。各回30名以上の記者様に参加いただき、毎回新しいメディアに関心を持っていただけていることも、数あるベンチャーの中で注目いただける企業になりつつあると、手ごたえを感じています。
加藤:プレスリリースの転載を含まずに200件露出とはすごい成果ですね。テック系、ビジネス系メディアの数自体はあまり多くないので、そのような中でもそれだけのメディアに関心を持たれるのは本当にすごいことだと思います。記者勉強会もいいですね。記者の方からも「すぐに記事化というより、業界や製品のことをまず勉強したい」という声も多くいただきます。
メディア対応は「人と人とのコミュニケーション」。想像力を働かせれば、おのずとアクションが見えてくる。
加藤:提案してもなかなか記者に興味を持ってもらえない、発表会にも来てもらえないと悩む広報担当者の方も多いです。どのような工夫をされているのでしょうか。
北村:今は、広報に関する様々なノウハウやテクニックの情報が幅広く流通しています。ありがたさを感じる一方で、本質をとらえにくくなっているようにも思います。私が思うのは、メディア対応とは「ビジネスにおける人と人とのコミュニケーション」です。メディアの方々は、一般的なビジネスパーソンとは少々異なる特徴をお持ちの場合もありますが、それも、個人差やカルチャーギャップの範囲内。相手がどのような人か興味を持ち、相手がビジネスで何を求めているのかを本質的に理解できれば、おのずとアクションが見えてきます。適切な関係を築くには、「自分がされたら嫌なことはしない」を基本に、想像力を働かせること。もちろん、ビジネスにおいても相性があります。先方が求めているものと、自社・自分が提供できるものがマッチしない場合はしつこくせず、自社・自分が持っているものと合致する情報を求めている別のメディアや記者さんを探すという切り替えも必要だと思います。
加藤:そうですね。しつこくせずに、その情報を必要とする人を探すというのは重要ですね。
後編に続く (聞き手:加藤恭子 編集協力:aoi_s)