PR会社社長に、社員がインタビューをし、紹介する新シリーズ。
記念すべき1回目は1989年創業、PR会社トークス代表取締役社長の辻田邦彦さんです。聞き手は株式会社トークス 事業推進第3部 シニアアカウントエグゼクティブ 横田 宗太郎さんです。
- 1. 新聞記者としてキャリアをスタート。社内調整の仕事が後のリレーション構築に役立つ経験に
- 2. 「給料分以上の働きをしよう!」成果を出すことで大きな仕事を任せてもらえるようになったPR会社勤務時代
- 3. パブリックアフェアーズの面白さに目覚めたタバコメーカーのPR経験
- 4. PR会社「トークス」を起業、今までの実績が評価され、仕事を獲得
- 5. 無理だと決めつけず、知恵と人脈の掛け合わせで信頼を得る
- 6. 「人間関係をどのようにつくるか」がカギ。『ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争』を読んでほしい
- 7. 「時間の投資」「体力の投資」を是非。生きているうえで無駄なことはなく、やらないと何も見つからない。これは若いうちしかできない。
新聞記者としてキャリアをスタート。社内調整の仕事が後のリレーション構築に役立つ経験に
横田:まずは、辻田社長のご経歴を教えてください。新聞社時代の経験、入社理由やその時のエピソードなどをお聞かせください。
辻田:横浜市立大学卒業後、神奈川新聞社に入社しました。最初の配属は校閲部、それから、政治経済部、社会部と異色の経歴でありますが、後に校閲部での仕事経験が強く活きました。校閲部と工務部という新聞社で工場といっている部門との間には垣根がありましたが、双方の言い分もわかるようになり、社内の調整役として活躍しました。食事や社内の風呂での文字通り裸の付き合いを通して、親交を深め、何かお願いする時に「辻田がいうなら」と思っていただけるようになりました。この経験がPR業務で重要な、さまざまな関係者との関係性構築に活かされています。
「給料分以上の働きをしよう!」成果を出すことで大きな仕事を任せてもらえるようになったPR会社勤務時代
横田:PRをやろうと思ったきっかけは何かあったのでしょうか?
辻田:新しい仕事を探している中で見つけたのが、国際畑に強いPR企業でした。正直、最初からPRがやりたいとか、自分に合っているなどと考えていた訳ではなく、「自由にやれそう」と感じて入社しました。ただ、権利と義務に対する道徳観念は強い方で、「給料分以上の働きをしよう!」と心に決め、一つ一つの仕事に取り組みました。成果を出すごとに大きな仕事を任せてもらえるようになり、自分の仕事の領域が広がっていきました。
パブリックアフェアーズの面白さに目覚めたタバコメーカーのPR経験
横田:達成感を感じたこと、PRは面白いなあと感じたことを教えてください。
辻田:世界トップ3に入るタバコメーカーを担当していた時のことです。嫌煙運動が起こっていた時代で取材誘致が難しく、「PRなんて無理」と担当を外れる人が多い中、あきらめずに続けてきたからこそ、相談が増えるようになりました。特にパブリックアフェアーズに重点を置きました。嫌煙運動が激しさを増す中、メディア露出は難しかったのですが、一方で日本にはたばこ税があり、葉たばこ農家の方もいらっしゃるため、産業としては重要です。そのような側面から、どのように産業が成り立ち、世の中に貢献しているのかを伝えるよう努力しました。
PR会社「トークス」を起業、今までの実績が評価され、仕事を獲得
横田:1989年にトークスを立ち上げた理由を教えてください。
辻田:懇意にしている先輩に将来のことを相談した際に「何か新しいことをやればいいじゃない。何だったら会社つくれば?」と背中を押してもらい、トークスを立ち上げました。いままでの活動や経験を評価してくださった関係者から仕事の話が来たため、順調なスタートを切ることができました。
無理だと決めつけず、知恵と人脈の掛け合わせで信頼を得る
横田:トークスのターニングポイントとなったエピソードをお聞かせ願いますか?
辻田:大手製薬メーカーの依頼で循環器学会の超大型市民公開講座の企画・運営を任されました。2時間で10人のドクターから、それぞれ異なるテーマで話していただきました。この時代、ドクターには序列がありました。出演の先生方に心地よくご快諾いただくべく、知恵と人脈で考え抜きました。大変好評で、この後、トークスにはメディアだけではなく、ドクター対応の業務も多くいただくようになりました。
横田:そのような成功まで導くために秘訣はなにかあるのでしょうか?
辻田:仕事に取り組む時に重要なことは、無理だと決めつけずに可能性を探り取り組むことです。時にはハードルの高い依頼もありますが、成功することで信頼を得て、「PR代理店に任せてみよう」とさらなる仕事の獲得につながります。先生との信頼できる関係構築ができたうえ、世論にもメッセージを伝えることに成功し、「もっと早くこの施策をやっていればよかった」と感じていただけました。
「人間関係をどのようにつくるか」がカギ。『ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争』を読んでほしい
横田:広報担当者におすすめの書籍がありましたら、おすすめの理由も含めて教えてください。
辻田:Public Relationsに関連する内容でありつつも、Public Affairsについて学ぶことが大切です。Public Affairsはコミュニケーションだけではなく、パーソナルリレーションズやファイナンス、法律など専門的なものが必要になることがあります。そのために「人間関係をどのようにつくるか」がカギとなります。そのことを学べる『ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争』(著・高木徹)は一読の価値があるのではないかと思います。
「時間の投資」「体力の投資」を是非。生きているうえで無駄なことはなく、やらないと何も見つからない。これは若いうちしかできない。
横田:PRパーソンを目指す若手にアドバイスをお願いします。
辻田:昨今、NISAが流行り「投資=NISA」といった風潮がありますが、本来投資の中には「時間の投資」「体力の投資」が含まれます。無理無駄といわれても、できるうちはやってください。生きているうえで無駄なことはないので、先ずやってみることで、やらないと何も見つかりません。若いうちでなくてはできないので、ぜひ何事にも取り組んでみてください。必ず何かしら人生の糧となるものを得られます。
広報デリ編集部:辻田さん、横田さん、貴重なお話をありがとうございました!
取材対象者:株式会社トークス 代表取締役社長 辻田 邦彦 さん
インタビュアー/構成:株式会社トークス 事業推進第3部 シニアアカウントエグゼクティブ 横田 宗太郎 さん
編集:広報デリ編集部
辻田 邦彦さん略歴
横浜市立大学卒業後、神奈川新聞社編集局に入社。社会部、政経部など7年在籍。その後、PR会社で12年。その時のメディア出身の上司が経営する編集プロダクションに居候同然で潜り込みトークスを設立。
前身のPR会社時代、無任所団体だった日本PR協会の社団法人化を推進する組織のトップを務めたのが幸いし、多方面から引き合いがあり、初年度から順調にスタート。創業以来、無借金経営を続けている。
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