マーケ広報meetup2024:広報本著者登壇:後半

マーケ広報meetup2024:広報本著者登壇:後半

2024年8月29日、ビーコミ加藤主催の「第17回 マーケ広報meetup 2024」が開催されました。本レポートでは、イベントの中盤部分である、広報本著者登壇の後半レポートをお届けします。前編はこちら全体レポートはこちらをご覧ください。

広報が書いた、広報による広報が主語の一冊

4番目の登壇者は、「マスコミ対策の舞台裏 役員からの電話で起こされた朝」(日経BP社)の著者、遠藤眞代氏です。

遠藤氏は1993年よりソニーで20年間勤続し、そのうち14年を広報部門で過ごした後フリーランスを経て、現在はDone株式会社を起業しています。起業の翌年から日経BP(日経クロストレンド)での連載をスタート、現在では180回以上の連載を重ねています。今回紹介された著書は、この連載をまとめたものです。

広報の社内での地位の低さや、社内外との軋轢に悩む広報パーソンを近くで見てきた遠藤氏は、広報の人に寄り添うような内容を目指して連載を開始しました。連載開始時には、クオリティの高いノウハウ本は多数存在していたものの、広報が自身の経験談を綴った本は少なかったそうです。

本書は、大企業から中小企業まで、様々な企業での豊富な広報サポート経験を持つ遠藤氏ならではの、広報による、広報が主語の、「あるある」が詰まった一冊となっています。遠藤氏は、広報で悩んでいる方や、広報にあまり造詣が深くない経営者の方に読んでほしいと締めくくりました。

これからの広報パーソンに必要なのは”愛社精神”

5番目の登壇者は「新しい広報の教科書」(朝日新聞出版)の著者、栗田朋一氏です。

栗田氏は、テーマパーク日光江戸村の広報からキャリアをスタートし、その後電通PRやぐるなびでの広報を経験。2014年に独立し、現在はPRアカデミーの代表を務めています。独立と同時に「新しい広報の教科書」を出版しましたが、今回紹介されたのは2021年に出版された”改訂版”です。

コロナ禍を経て出版された改訂版では、アフターコロナやSNSの運用・目的、現在活躍している11社の敏腕広報担当者の広報術など、まさに今の広報担当者が知りたい情報が追加されています。

栗田氏は、様々なノウハウや成功事例を徹底的に学んでほしいと話します。ただし、広報には万人に共通する正解はないため、失敗経験の中から自分だけの正解を見つけてほしいとも語りました。

本書には成功事例だけでなく失敗経験も多数掲載されており、読者は自分の環境や経験など、個別の要因に当てはめて、自分だけの正解を探すためのヒントを得られるのではないでしょうか。

また最後に、これからは「会社対会社」から「個人対個人」に変わり、メディアが求めている情報も「プロダクト&ファクト」から「ストーリー&ナラティブ」に変わっていると栗田さんは話しました。 愛社精神があり自社のサービスを心から愛している広報パーソンが、これからの時代に成功する広報パーソンになることが出来、その広報活動は社員とその家族を幸せにすることが出来るそうです。 社長でも経営陣でもなく、広報担当者だからこそ実現できる全社の幸せが広報担当者のゴールではないか、と栗田さんは広報愛に溢れたお話しをまとめました。

スタートアップや中小企業に寄り添った実践的な広報を

6番目の登壇者は「逆襲の広報PR術」(すばる舎)の著者 野澤直人さんです。

雑誌の編集者からベンチャー企業に転職し広報に従事、その後スタートアップに専門特化したPR会社「ベンチャー広報」を創業した野澤さん。 ベンチャー企業での広報経験時に、書籍もセミナーも大企業の広報の話は多くギャップを感じ、スタートアップや中小企業での広報にとって役立つものをと本著を執筆したそうです。 教科書的な内容ではなく読んですぐ実務に使える実践的な本となっているので、広報の基本的な話が分かってきた担当者がより実務に基づいて参考にするのにぴったりです。 (ちなみに本レポート担当者はまさに少人数ベンチャー企業で広報を担当しており、自分たちのような小さい会社が明日すぐ使えるテクニックも学びたい!とすぐに本書を注文しました。) また続編の希望もあるそうですが、野澤さんは続編の媒体として書籍ではなく、より常に新鮮な情報を届けることができるYouTubeを選択したそうです。最新の情報はYouTubeの「広報PRラボ」というチャンネルで発信しているとのことなのでこちらもあわせて確認したいですね。

大きな成功は小さな一歩から

最後は「話題にしてもらう技術」(技術評論社)の著者、ビーコミの加藤恭子です。

情報を発信していかないと会社は知ってもらえずに忘れられ、消えていってしまう、と加藤は話します。 発信し、話題にしてもらうことがいかに会社にとって大切か、そしてそのためになにをすべきかが詰まっている一冊となっています。

260ぺージという大容量な一冊となっているため、最初から読むより、架空のHRスタートアップの広報立ち上げ事例の付録から読むのもおすすめとのこと。 企業が伝えたいこととメディアが書きたい(読者がしりたい)ことがずれていないか、5人の記者リストを作る大切さなど広報パーソンたちに必要なことはたくさんありますが、今日加藤が一番伝えたいと述べたのは「広報の超人と自分を比較してしまっていませんか?」ということでした。 本日の登壇者をはじめたくさんの”超人”がいる広報の世界、自分を同じように比較して手も足も出ないと悩んで立ち止まってしまったり、話を聞くだけでやった気になっていたりしないはしないだろうかと加藤は問いかけました。

大事なのは小さいスタートや挑戦をして先に進んでいくこと、それが大きな成功に繋がると話し、「広報本著者集まれ! 著者によるミニプレゼン」のコーナーを締めくくりました。

以上が、イベント中盤、広報本著者の後半のレポートです。その他の内容については、他の方が執筆したレポートをご覧ください。前編はこちら全体レポートはこちらです。

(執筆 池田果菜子 写真 戸津弘貴)

執筆者略歴:池田果菜子 大学卒業後、ERPパッケージベンダーで営業に従事。2022年より株式会社データビークルに入社。マーケティング、広報担当として企業や自治体などのデータ活用推進に取り組む。

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